【保育士向けの支援制度】国や自治体が行う取り組みのまとめ。家賃補助金など

国や自治体が行う、保育士のための支援制度。待機児童の解消や保育士の人材確保を目的として、さまざまな助成金や補助金を進呈する支援事業を行っています。今回は、現役保育士さんやこれから就職・転職をする方が利用できる家賃補助や待遇改善など、支援制度について紹介します。また、自治体独自の事例もまとめました。


子どもを抱っこする保育士

yamasan0708/shutterstock.com

 

保育士向けの支援制度が導入された背景

未だ解決しない保育士不足。待機児童解消のため、新しく保育園が設立されたとしても働く保育士が不足しているという状況があるようです。

 

人材不足の背景には、自身への健康の不安があることや休暇がとりにくいことなどさまざまありますが、なかでも給与の低さが原因として最も多く挙げられます。

「子どもが好きで保育に携わりたい」、「問題となっている待機児童の解消に役立ちたい」という気持ちがあっても、希望と見合わない勤務形態や給与面を理由に就業を諦める方もいるのが現状と言えそうです。

 

しかし、そういった深刻な保育士不足を解消するため、国や自治体ではさまざまな補助金や助成金などの支援制度を行って保育士の確保を目指しています。

これから保育士として就職・転職する方は補助金によって家賃が安くなったり、キャリアアップによって昇給を目指せたりするなど、さらなる待遇改善が見込めるかもしれませんね。

 

今回は、保育士向けにどのような支援制度があるのか、くわしく紹介します。

 

出典:保育分野における人材不足の現状①/厚生労働省

現役保育士向けの支援制度

はじめに、現役保育士向けの支援制度を紹介します。

 

保育士等キャリアアップ補助

 

保育士等キャリアアップ補助とは、人材確保だけでなく、保育の質を高めることを目的とした支援制度です。

 

キャリアアップのためには、園が保育士育成研修などを実施する必要があります。そういった研修費用の一部を国が補助し、園の保育サービスの質の向上や給与のベースアップを目指します。

保育士さんに直接補助が支給されるものではないものの、キャリアアップすることで給与に手当が加算されるため、待遇改善が見込めるかもしれません。

 

家賃補助

 

家賃補助には、国や自治体から園が受けられるものや、園から保育士さんに直接受けられるものがあります。それぞれについて紹介します。

保育士宿舎借り上げ支援事業

保育士宿舎借り上げ支援事業とは、園が保育士を住まわせるために物件を借り上げた場合は、その家賃の全額または一部を国や自治体が補助するという制度です。

 

金額は自治体によって異なりますが、月額最大8万2000円の補助を受けられます。

家賃が補助額の上限を超える場合は自己負担額として給与から天引きされるため、個人で賃貸業者に支払う必要はありません。借り上げ社宅の管理費や礼金、更新料が不要となるケースもあるため、入居の初期費用や月々の負担を軽減できるのがメリットと言えそうです。

 

ただし、対象者は採用された日から起算して10年以内の保育士が対象です。また、物件選択の自由は認められず、園が借り上げている指定物件に対する入居が条件となります。

自治体の住宅支援制度

自治体の住宅支援制度は、自治体が主体となって保育士宿舎借り上げ支援事業に沿い、独自の補助を行うものです。

 

自治体によっては、保育士宿舎借り上げ支援事業の対象外となる保育士さんに向けた補助を行なっているところもあるようです。

園からの家賃補助

園からの家賃補助は、園から月々決まった金額が住宅手当として支給されたり、一定の割合の金額を園側が負担したりする補助金のことを言います。いくら支給されるかは、園によってさまざまなようです。

 

このような家賃補助は園独自で導入されているため、保育士さんに直接手当として支給される形となります。

 

出典:保育士宿舎借り上げ支援事業/首相官邸

出典:保育士のキャリアアップの仕組みの構築と処遇改善について/厚生労働省

今後就職・復職する予定の保育士向けの支援制度

次に、今後就職・復職する予定のある保育士さん向けの支援制度を紹介します。

 

保育士就職準備金貸付

 

保育士就職準備金貸付とは、「保育士に登録してから1年間を経過している方のうち、保育施設に勤務したことがない」または「離職から1年以上経過している方」を対象として、就職に必要な準備金を貸付してもらえる制度です。

 

最大40万円を無利子で融資することができるため、就職のために引っ越しなどの準備が必要な方には有利かもしれません。

また、実施する自治体が指定する勤務先に2年間程勤務すると、返済が全額免除されるメリットもあるようです。

 

未就学児をもつ保育士に対する保育料の一部貸付事業

 

未就学児をもつ保育士に対する保育料の一部貸付事業は、子育て期の保育士さんの就労を支援するために、子どもの保育料を貸し付けてくれる制度です。

 

就職・復職してから1年間を限度に、子どもの保育料の半額を無利子で融資できます(ただし上限あり)。

補助額は自治体によって異なりますが、指定する勤務先に2年間程勤務すると返済が全額免除されます。

 

出典:保育士修学資金の貸付け等について/厚生労働省

自治体による保育士向けの支援制度の事例

先生と話す女性

milatas/shutterstock.com

 

ここでは、自治体が独自に行っている保育士向けの支援制度の事例を紹介します。

 

東京都千代田区の事例

 

奨学金を利用して保育士資格を取得し、現在奨学金を返済しながら区内の保育施設に勤務する保育士を対象に、当該奨学金の返済費用の一部を補助しています。年間24万円までが補助対象となるようです。

 

東京都江戸川区の事例

 

江戸川区では、区独自の補助金1万円を給与に上乗せしています。また、常勤の保育士として正規に採用された方を対象として、勤続5年ごとに10万円の報奨金を支給しているようです。

 

埼玉県さいたま市の事例

 

さいたま市では、保育所を運営する社会福祉法人等に施設の運営改善と職員の待遇改善を図ることを目的とし、市独自の上乗せ補助を行っています。

常勤職員1人あたり年額19万3500円を加算(月額1万500円×12カ月+期末手当6万7500円)して手当を支給しているようです。

 

千葉県船橋市の事例

 

船橋市内の保育園等で働く保育士さんに、船橋市から手当を支給しています。月額だけでなく賞与への上乗せもあり、年額58万5460円加算されます。

勤務年数を問わず働き始めた1年目から支給され、正規職員に限らずフルタイムのパートタイマー職員の方も対象のようです。

 

このように、自治体独自で支援制度を行っているところもさまざまあります。くわしくは各市町村のHPを調べたり、直接問い合わせてみたりしてみましょう。

保育士向けの支援制度における注意点

最後に、保育士向けの支援制度における注意点を紹介します。

 

自治体によって導入している支援制度は異なる

 

全国的に慢性的な保育士不足と言われていますが、深刻度は自治体によって異なります。そのため、自治体によって導入している支援制度が異なることを念頭に置きましょう。

 

独自の支援制度は、主に首都圏や、大阪府、福岡県といった主要都市で手厚い傾向にあるようです。実際にどのような制度が導入されているか、事前に調べるとよいですね。

 

保育士に直接支払われない補助金もある

 

支援制度において、国や自治体から保育園に対して助成金や補助金が支払われる場合は、直接保育士に支払われるものではありません。

 

助成金や補助金は、園の保育士1人に対していくら、という形で支給されているものもあり、園からの支給方法は事業者に委ねられているようです。そのため、「補助額が月額〇〇円だと聞いていたのに、給与に上乗せされていない」という事態も起こり得るかもしれません。

 

補助金がどのような支給方法のものなのか、あらかじめ把握しておくこともポイントです。実際に手当としていくら加算されるかなどは、事前に園に確認しておきましょう。

保育士の支援制度を把握して、上手に活用しよう

今回は、保育士向けの支援制度や自治体の事例などを紹介しました。

 

国や自治体は、保育士の人材確保をするべく家賃補助や待遇改善などさまざまな支援を行っているようです。ただし、補助金の支給方法や細かい条件は自治体によって異なるので、事前に窓口へ問い合わせるなどして確認してみましょう。

 

どのような支援制度があるのか把握して、上手に活用できるとよいですね。

 

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