保育士資格を通信教育で目指すメリット・通信制大学と通信講座の合格率や費用を比較

正職員の保育士として働くには保育士資格が必要ですが、社会人や主婦のように通学が難しい状況で資格取得を目指す際、まったくの独学は難しい面があります。解決策として通信で勉強する学習スタイルがあり、通信制大学か通信講座、2つの勉強方法が選べます。資格取得の方法や試験の難易度、実技や実習対策、独学期間のシミュレーション、取得後の求人状況をまとめました。
保育士資格を通信教育で取得するには?
Mangostar/shutterstock.com


保育士資格を通信講座・通信制大学でとる場合の比較



保育士資格を取得するには2つの方法があります。まず、資格取得の条件を見てみましょう。


指定保育士養成施設の大学・短大・専門学校を卒業



各都道府県知事が認定した指定保育士養成施設で保育士課程のある学校を卒業すると、自動的に保育士資格が取得できます。


保育士資格試験



各都道府県が実施する国家試験で、合格することにより保育士資格を得ることができます。
試験には筆記試験と実技試験があります。筆記試験は「保育原理」や「社会的養護」などの保育に関わる8科目で、全てマークシート回答です。筆記試験は各科目6割正解で合格、1度合格した科目は3年間再受験が免除されます。
難易度は低くはありませんが、年2回の試験があるため、合格するチャンスは多いです。
実技試験は筆記試験に合格した人が受験できます。音楽、造形、言語の中から2つの試験科目を選択し、与えられたお題に対して実技を披露することになります。
保育士資格試験には受験資格があります。受験資格は4年制大学・短大・専門大学卒業の学歴となっています。高卒や中卒でも児童福祉施設での一定期間働くという条件を満たせば、受験できます。


出典:保育士試験を受ける方へ/一般社団法人保育士養成協議会



保育士資格を通学制でなく通信制で目指すための2つの方法


通信制大学



通信制大学とは、「働きながら勉強したい」「事情があって通学が難しい」という、キャンパスへは定期的に通えないさまざまな事情がある人への学習ニーズに応えるべくつくられた教育課程です。指定保育士養成施設の通信制大学を卒業すると、保育士資格だけでなくその大学の学士と大学卒業資格が得られます。


通信講座



資格学校や教育出版会社の通信教育で勉強する方法もあります。
資格学校の通信教育では、保育士試験に合格するための対策講座があります。試験に合格するためのノウハウや問題を解くことに重点を置いているため、通信制大学のようにスクリーニング授業や実習はなく、独学で購入した教材を勉強するスタイルが基本です。実技試験対策や現場での保育経験は自身での対応が必要です。


保育士資格を通信で取得するメリット


費用、学費が通学制と比較して安い



通信で学習する利点はその安さです。通学制学校が年間約100万円程度の学費がかかるのに対し、通信制大学であれば、年間30万~50万円程度の学費に抑えることができます。通信講座では基本教材費のみのため、学校のように追加費用はあまりかかりません。費用は通信制大学よりも安く、教材や講座ごとに5万~30万円程度です。


勉強時間を自由に確保できる



通信制大学は社会人で仕事をしながら、また育休中で子育てをしながらなどと並行して、大学卒業資格と保育士資格取得が目指せます。また通信教育なら、定期的な通学やスクーリングが難しい環境の人でも、勉強時間を自由に確保して独学スタイルで国家試験対策が可能で、独学で保育士資格を目指すことができます。


入学・勉強を始める際の資格の間口が広い



通信制大学は入学に際し、高校卒業の資格があれば誰でも受験することが可能です。また、中卒でも特習生制度を使えば入学できる場合があります。入試はある場合もありますが、面接・小論文程度が多い傾向です。
通信講座は、だれでもいつからでも、受講が可能です。ただ保育士国家試験を受験するには前述の受験資格が必要です。大学・高校卒業以外の方は、受験資格をしっかり確認して勉強を始めるとスムーズです。


受験資格の詳しい説明はこちらから



通信講座・通信制大学での費用、勉強期間の比較


通信講座と通信制大学の費用・勉強期間・スクーリング期間の比較


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通信講座・通信制大学で実習・実技の対策の違いを比較


通信制大学



通信制の大学に通う場合は実習・実技は必修です。保育士を目指す上でスクーリングなし、という大学は現在はほぼなく、実技は大学のスクリーングの授業で単位を取得しなければなりません。実習も卒業要件の1つなので、学校に決められた一定期間を通学する必要があります。特例で幼稚園教諭を持っている人に関してはスクーリング期間を短くしている大学もあります。近年では、卒業率を上げるために、スクーリングを以前より減らし、eラーンニングなどコミュニケーションが取れる代替えの学習スタイルを取り入れる学校もあります。


通信講座



保育士試験合格を目指して資格学校の通信講座をとっている場合はスクーリングなし・実習はありません。ただ保育士資格の取得には、筆記試験と実技試験の両方の合格が必須です。実技対策は独学で行うか、対策用に別途通学講座を設けているところもあります。
「実習」は資格取得の要件ではありませんが、いざ資格を生かし就職したい場合、求人案件で実働経験を求められるケースも多いため、実習がない分、実務経験はパートで働くなどして、自身で経験を重ねることが必要になるでしょう。


保育士資格を目指す上で通信講座・通信制大学の難易度の比較


通信講座を受講し国家試験試験を受験する難易度


国家試験の通信講座での合格率



厚生労働省が年2回発表している保育士試験の全教科合格者の割合は、例年20%前後と合格者の割合が少なくなっています。保育士資格と同じ医療・福祉分野の国家資格の合格率を見てみると、看護師資格試験の合格率は2018年度で91.0%、薬剤師では、70.58%の受験者が合格しており、同じ国家資格でも保育士の資格取得の難易度は高いといえるでしょう。
通信教育で国家試験の合格を目指した場合、通信教育各社が発表している全試験合格率は50%前後で、一部教科の合格は30~40%前後と低くない合格率となっているようです。試験は1年間に2回受験でき、合格科目は3年間持ち越しができるので、自分の学習ペースで全教科合格を目指すことができます。


参考出典:「H29保育士試験の実施状況」/厚生労働省ホームページ


出典:「第103回薬剤師国家試験の結果について」/厚生労働省


出典:第104回保健師国家試験、第101回助産師国家試験及び第107回看護師国家試験の合格発表について/厚生労働省ホームページ


幼稚園教諭や主婦の経験実績に優遇制度



保育士試験の筆記には、いくつかの優遇条件があります。
例えば、2015年度より幼稚園教員免許を持っている人を対象に、一部筆記試験の科目が免除されています。幼稚園教諭になるために勉強した科目と、保育士資格試験で出題される分野が重なるためです。幼稚園教諭をしている人は、保育士資格を取得しやすいといえるでしょう。
主婦の方で児童福祉施設でパートとして働いている人なら、資格試験合格を目指している人には筆記試験の合格科目の免除期間が優遇されます。筆記試験は科目ごとに1度合格した時から3年間、科目合格が有効です。児童福祉施設で働きながら資格試験をしている人は、一定時間の勤務でこの免除期間が5年まで延長されます。
保育の仕事をしている、やる気のある方が働きながら資格取得を目指すのに、より後押しする制度となっています。


出典:「特例制度について(幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例)/一般社団法人保育士養成協議会」


出典:「筆記試験合格科目における 合格科目免除期間延長制度について/一般社団法人保育士養成協議会」


通信制大学の卒業率



通信制大学はスクーリング以外はほぼ自学自習のスタイルです。卒業する意思を固く持たないと卒業率が極めて低く、以前は10~20%と言われてきました。また、モチベーション維持が難しく、学習時間を確保できずに4年で卒業できない場合もあります。
現在は卒業率を高めるためのカリキュラムを工夫する大学が増えており、スクーリングを減らしてeラーンニング(パソコンやタブレットなどのデバイスでインターネットを介してどこでも学習できるシステム)などを積極的に導入し、卒業率を50~70%まで上げている通信制大学も増えています。


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通信制大学・通信講座で保育士を目指す独学シミュレーション


保育士試験を受ける場合のシミュレーション

短期大学の通信制大学に通う場合のスケジュール



1年目:通信制授業で科目単位取得+夏季スクリーニング授業
2年目:通信制授業で科目単位取得+夏季スクリーニング授業
3年目:通信制授業で科目単位取得+保育実習
→卒業で資格取得!

通信制の大学の場合は、通信の授業で単位を取得して、夏または冬に実施されるスクリーニングの授業で実技の単位を取得します。3年次の保育実習を修了して卒業することで保育士資格が取得できます。大学のカリキュラムをこなしていけば、卒業と同時に資格取得ができます。


通信講座で国家試験を受験するためのスケジュール



半年間~2年間:通信講座で筆記・実技試験勉強
1年に2回:筆記・実技試験
→合格で資格取得!
1年に2回国家試験を受験でき、1度合格した科目は3年間再受験が免除されるため、6回のチャレンジが可能です。
通信講座では8カ月~1年間の標準学習期間が過ぎても、保育士試験に3回チャレンジできる 2年間程度はサポート期間を設けている講座が多いため、合格を目指す教科を分けて、その教科に集中して分割で合格を目指す計画も立てられます。


通信講座などの通信教育は多様な環境・境遇の人が保育士を目指せる



保育士資格を目指す上で、学校に通う以外の選択肢として通信制講座は、学習時間の自由度や費用面での安さ、学歴を問わず、誰でも受講できるという手軽さが魅力的です。保育士資格を目指す社会人・主婦など、通学や長期間学習期間を確保するのに難しい境遇の人でも、自分の時間の使い方を工夫して、自分のペースで試験対策が可能です。よく比較される通信制大学の特色・メリットと比較して、自分にあった学習方法を選んでくださいね。


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