保育士になるには?保育士資格の取得方法、幼稚園教諭免許との比較


保育士になるには教員や幼稚園教諭のように免許を取得するイメージを持っている方が多いでしょう。保育士になるには「保育士資格」が必要になります。では、保育士資格を取得するにはどのような方法があるのでしょうか?このコラムでは保育士資格の取得の方法を中心に、比較されることが多い幼稚園教諭免許との違いも解説していきます。

保育士さんのイメージ


保育士になるには?保育士資格の取得方法



保育士資格は児童福祉法で定められた国家資格であり、法令で保育士資格の取得方法が定められています。その取得方法は大きく分けて2つ。厚生労働大臣が指定する大学・短大や専門学校などの保育士養成施設で所定の単位を取得することと、年に2回行われる国家試験の「保育士試験」に合格すること、まずはこの2つの方法について解説していきます。


養成学校(大学・短大・専門学校)に通う場合



大学や専門学校など養成学校での取得は、所定の単位を取ると卒業と同時に保育士資格が取得できます。カリキュラムにはピアノなどの実技や、保育園などの児童福祉施設での実習も含まれており、最低でも2年間の修学が必要です。

こうした学校では、保育士資格と同時に幼稚園教諭免許を取得することもできる学校もあります。学校によって違いはありますが、費用は2年間の課程で200万円前後かかるようです。
費用と時間はかかりますが、理論と実践の両面から、しっかりと保育の中身を学ぶことができるでしょう。

養成学校の詳しい説明はこちらから




保育士試験に挑戦する場合



国家試験の保育士試験に合格することでも保育士資格の取得が可能です。自分で勉強をして試験に合格しなければなりませんが、働きながら資格取得を目指せるほか、努力次第で早く取得することが可能な方法です。

保育士試験の受験のチャンスは年に2回。試験会場は、都道府県ごとに最低一会場ずつ設けられます。合格率は毎年20%程度のようなので、なかなか難関な試験といえるでしょう。

出典:保育士試験/厚生労働省




保育士試験の受験資格



保育士試験には受験資格が必要ですが、保育士の養成校で学んでいない方でも受験することができます。4年制大学、短大を卒業した方、2年以上の課程の専門学校を卒業した方などに受験資格があり、高卒の方や中卒の方なども一定期間以上保育関連施設で働くことで受験することができるようになります。大学を中退した方でも受験資格がある場合があり、さまざまな方に門戸を開いている試験といえるでしょう。

短大卒業程度の受験資格の詳しい説明はこちらから


高卒・中卒の詳しい説明はこちらから





保育士試験の試験内容・科目



保育士試験は「筆記試験」と「実技試験」があります。

筆記試験は保育原理、教育原理、社会的養護、児童家庭福祉、社会福祉、保育の心理学、子どもの保健、子どもの食と栄養、保育実習理論の全9科目です。これらの9科目に一度で合格しなくても、受かった科目は3年間「合格」として扱われます。

そして、筆記試験の9科目全てに合格すると、実技試験を受けることができます。実技試験は音楽・造形・言語の3科目の中から2科目を選択して受験します。実技試験の合格率は例年8割以上と高いことから、いかに筆記試験を突破するかが保育士試験のポイントです。


一部の免許、資格取得者には科目免除もある



また、保育士試験には資格や免許取得に必要な分野が重なる場合には科目免除の制度があります。

その一つが幼稚園免許。免除の申請をすることで筆記試験科目の「保育の心理学」と「教育原理」、また「実技試験」も免除の対象です。一定期間の実務経験があれば、これに加えて筆記試験の「保育実習理論」も免除となります(2019年度末まで)。

また介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士を持っている方は、「社会的養護」、「児童家庭福祉」と「社会福祉」の3科目の免除があります。

出典:全国保育士養成協議会




ちなみに、保育士は免許ではなく「保育士資格」



保育士の資格は「保育士資格」の一つしかありません。よく「免許」と混同してしまう人もいるようですが、免許があるのは幼稚園教諭のみ。保育士は資格だけなので間違えないようにしましょう。


保育士資格の更新はない



保育士資格は免許ではないため、更新の必要はありません。したがって、一度取得すると一生有効ということになります。

出典:保育士の登録/都道府県知事委託 保育士登録機関 登録事務処理センター



未経験歓迎の保育求人はこちら





保育士資格と幼稚園教諭の資格の違いとは?



保育士資格の取得方法を見てきましたが、同様に子どもと関わることが多く、保育士と比較されやすい幼稚園教諭とはその取得方法、業務などにどのような違いがあるのでしょうか?


幼稚園の先生のイメージmaroke/shutterstock.com

免許の種類がある



保育士の資格に関しては「保育士資格」しかありませんが、幼稚園教諭免許は同じ免許でも学歴ごとにその名称が変わってきます。

幼稚園教諭免許の正式名称は、「幼稚園教諭二種免許状」「幼稚園教諭一種免許状」「幼稚園教諭専修免許状」の3種類があり、取得方法によって名称が以下のように変わります。

・幼稚園教諭二種免許状...短大・専門学校で幼稚園教諭養成課程を修了し、卒業することで取得でき、通信教育でも取得できる
・幼稚園教諭一種免許状...四年制大学で幼稚園教諭養成課程を修了し、卒業することで取得できる
・幼稚園教諭専修免許状...四年制大学卒業後、大学院にて修士課程を修了することで取得できる

いずれも所定の単位を取得すれば、卒業と同時に取得できます。


幼稚園教諭一種、二種、専修の違い



幼稚園教諭の資格は3種類ありますが、専門学校や短期大学で2年で取得できることから、「幼稚園教諭二種免許状」を取得する人が多く、2016年度には「二種」を取得する人が68.0%、「一種」は27.2%、「専修」は0.5%となりました。

その一方で「一種」は、四年制大学を卒業しての取得となるので、学んだ期間の差から給与に差があることも。「一種」か「二種」の取得の違いで、初任給が1~2万円の差が出ることもあります。

出典:幼稚園教諭の免許状の保有状況について/文部科学省






取得方法に試験がない幼稚園教諭免許



保育士は、大学や専門学校などの保育士養成学校に通って資格を取得する場合、所定の単位を取ると卒業時に資格が得られるため、試験はありません。

一方で、学校に通わずに自分で取得する場合には、保育士試験を受ける必要があります。

幼稚園教諭免許の場合は、いずれの種類でも基本的には卒業時に免許が得られるので試験はありません。



更新がない保育士資格と、更新がある幼稚園教諭免許




保育士資格は更新がありません。そのため、一度取得しておけば、制度が変わらない限り一生資格として有効ということです。

一方で、幼稚園教諭免許状は2009年から10年の有効期限が設けられるようになりました。2009年度以降に発行された新免許状には有効期限が記載されるようになり、有効期限の満了前に更新が必要になりました。

2009年度以前に取得した旧免許状をお持ちの方も、生年月日によって最初の修了期限が設定されており、以降は10年ごとの更新となります。単純に免許取得日からの計算ではなく、生年月日によって一人ひとりの期限が異なるので注意が必要です。文部科学省のホームページで詳しい期限が確認できるのでチェックしておきましょう。

幼稚園免許は免許の有効期限が切れる2年2か月前から免許更新講習を受けられます。その2年の間に、大学などで行われる30時間の更新講義を受け、免許管理者に届け出を出すことで更新は完了です。

出典:教員免許更新制/文部科学省





保育士が働く保育園と幼稚園教諭が働く幼稚園の違い



保育士と幼稚園教諭はそれぞれ、保育園・幼稚園で働くことが一般的で、共に子どもと関わる仕事ですが、仕事内容にはどんな違いがあるのでしょうか。

最も大きな違いは、子どもたちの保育時間です。保育園の標準保育時間が11時間なのに対して、幼稚園の保育時間は、8時~14時の6時間ほどが一般的です。

また、お昼寝(午睡)の有無も特徴的でしょう。幼稚園に比べて、保育園は長時間過ごすので、子どもたちの休憩の意味も含めて午睡させるのが一般的。さらに、保育園は給食が必ずあります。しかも認可保育園はほぼ例外なく「自園調理」です。

保育園と幼稚園の違いにふれてきましたが、その保育の中身についてはどうなのでしょうか?現在、幼稚園と保育園の保育内容のガイドラインである「幼稚園教育要領」や「保育所保育指針」の内容がかなり共通化されるなど、その中身にはあまり大きな違いがなくなってきています。

そのため、現場の保育者が働く上では、幼稚園・保育園という違いよりも、各園の方針によっての違いが大きいでしょう。給与に関しても、幼稚園教諭・保育士で年収にさほど違いはありません。ただ保育士については、保育士不足や待機児童問題を背景として、さまざまな処遇改善が行われています。手当などが充実しているのは保育士の方だと言えるかもしれません。


働くことができる職場の違い



保育士資格や幼稚園教諭免許を取得している方の働ける職場についても見ていきましょう。

結論からいうと、保育士資格については、児童福祉施設を中心に勤務できる施設が多い一方で、幼稚園教諭の方は幼稚園で働くのが一般的なようです。

保育士は児童福祉施設である保育園や児童福祉施設のほか、ベビーシッターなど幅広い職種で求人があります。

幼稚園教諭は、ベビーシッターや学童保育などで働く場合は有利になるものの、働く施設としては幼稚園が中心のようです。

近年は、保育園の待機児童解消を目的として「認定こども園」が増えています。この認定こども園は、保育園と幼稚園の要素を兼ね備えた施設なので「保育士資格」と「幼稚園教諭免許」の両方を保有している方を求めていることが多いです。

認定こども園の中でも、今後普及していくことが見込まれる「幼保連携型」では、幼稚園教諭免許と保育士資格の両方を持っている人しか働くことができません。こうした、両資格を持っている「保育教諭」が今後求められていくことが予想されます。養成学校では両資格を2年間のうちに取得できるカリキュラムも増えてきていることから、将来の選択肢を増やすためにも両方の資格を持っているといいかもしれませんね。


保育士資格の取得を目指そう!



保育士資格を取るためには保育系の学校に通うこと、保育士試験を受験することの二つの方法があります。

学校に行くと幼稚園教諭免許も取得できますが、費用や時間がかかりがちです。一方で保育士試験は、比較的費用は抑えられ、時間も自分自身の頑張り次第で短縮が可能。ただし、厚生労働省によるとその合格率は例年20%程度となっています。

保育士資格と幼稚園教諭の大きな違いは、更新制度の有無です。幼稚園教諭免許は、10年ごとに更新が必要です。現在普及が進んでいる「認定こども園」では、幼稚園と保育士、両方の資格が必要になります。両方の資格が使えるように、特に保育園に勤めている人は、幼稚園教諭免許の更新を忘れないように気をつけてくださいね。


関連する記事

全国保育士養成協議会とは。保育士養成を目的とする団体の役割と事業内容

全国保育士養成協議会とは。保育士養成を目的とする団体の役割と事業内容

「保育士になりたい!」と考え、どうやったら目指せるか調べていると、必ず目にする"一般社団法...

保育士資格の国家試験合格率が低い理由は?筆記と実技試験の比較

保育士資格の国家試験合格率が低い理由は?筆記と実技試験の比較

保育士資格を取得するための合格率はとても低いと言われていますが、国家試験のシステムや、厚生...

幼稚園教諭の保育士資格取得の特例制度を解説

幼稚園教諭の保育士資格取得の特例制度を解説

幼稚園の先生の中には、保育需要の高まりを受けて保育士資格も取っておきたいと考える方もい...

保育士試験の勉強方法。テキストやアプリを使って効率よく勉強するには?

保育士試験の勉強方法。テキストやアプリを使って効率よく勉強するには?

保育士試験は、筆記試験9科目のすべてに合格しなければなりません。そのうえ出題範囲が非常に広...

保育士資格を取得する難易度は?国家試験の合格率と学校に通う卒業率で難易度を比較

保育士資格を取得する難易度は?国家試験の合格率と学校に通う卒業率で難易度を比較

保育士資格を取得するには、保育士国家試験に合格するか、指定保育士養成施設に認定されている学...

保育士試験の過去問の注意点とは?過去問を使った勉強方法

保育士試験の過去問の注意点とは?過去問を使った勉強方法

保育士試験をこれから受験する方の中には、「とにかく過去問を解いて対策をしよう!」と考えてい...

保育士に学歴は関係ある?資格取得、キャリア、給与など学歴による違いを解説!

保育士に学歴は関係ある?資格取得、キャリア、給与など学歴による違いを解説!

保育士に学歴は関係あるのでしょうか?このコラムでは、保育士になるために学歴は関係あるのか...

保育士試験の造形表現 試験対策や本番で気をつけたいポイントを解説

保育士試験の造形表現 試験対策や本番で気をつけたいポイントを解説

保育士試験の筆記試験に合格したら、次は実技試験ですね。実技試験3科目の中から、今回は保育中...

保育士資格を目指すのに年齢制限はある?保育士の年齢についての問題

保育士資格を目指すのに年齢制限はある?保育士の年齢についての問題

保育士という資格を取得する、資格取得後に仕事を長く続ける上で、知っておきたい受験資格の年齢...

保育士資格を通信講座で取得するには?国家試験合格率や実技、実習対策について

保育士資格を通信講座で取得するには?国家試験合格率や実技、実習対策について

保育士資格が取得できる国家試験対策として、民間企業が提供する「通信講座」で取得を目指すこと...

英語が生かせる保育士の就職・転職先は?資格や勉強方法も

英語が生かせる保育士の就職・転職先は?資格や勉強方法も

国際化・英語教育早期化の流れを受け、保育士資格だけでなく、英語の資格を取り仕事に生かしたい...

保育士資格を目指す学校「指定保育士養成施設」とは?学校による特色の違い

保育士資格を目指す学校「指定保育士養成施設」とは?学校による特色の違い

保育士資格の取得を目指して学校に進学する場合、どのような選び方があるのでしょうか。保育士を...

特集コラム一覧

プロ厳選!プレミアム求人

保育士求人を探す

コラム記事を探す