保育士試験の合格まであと一歩となる実技試験。音楽・造形・言語それぞれの分野のポイントを押さえて対策を行い、試験突破を目指したいですよね。今回は、2023年の保育士試験の実技について、「科目別の内容」「日程」「合格率」と分別の対策をわかりやすく紹介します。あわせて実技分野の選び方のポイントもまとめました。

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■目次
保育士試験における実技の概要と合格率
保育士試験で一次試験の筆記を突破すると、次に待っているのが二次試験の実技です。
まずは、2023年に実施される実技試験の日程や合格率を見ていきましょう。
実技の日程2023年の実技試験の日程は、前期・後期でそれぞれ以下の通りです。
前期試験:2023年7月2日(日)
後期試験:2023年12月10日(日)
実技試験の科目と内容
実技試験は、以下の3分野の中から2分野を選択して受験します。
出題科目 | 出題内容 | 求められる力 |
---|---|---|
音楽表現に関する技術 | 幼児に歌って聞かせることを想定して、課題曲(2曲)の両方を弾き歌いする。 | 保育士として必要な歌、伴奏の技術、リズムなど、総合的に豊かな表現ができること |
造形表現に関する技術 | 保育の一場面を絵画で表現する。 | 保育士として必要な造形表現(情景及び人物等を豊かにイメージした描写や色づかいなど) ができること。 |
言語表現に関する技術 | 3歳児クラスの子どもに「3分間のお話」をすることを想定し、4つのお話のうち一つを選択し、 子どもが集中して聴けるようなお話を行う。 | 保育士として必要な基本的な声の出し方、表現上の技術、幼児に対する話し方が できること。 |
各50点満点のうち2分野とも30点以上、合計60点以上得点すれば実技試験合格です。
ちなみに、幼稚園教諭免許状を所持している方であれば実技試験の受験が免除されるので、あわせて覚えておきましょう。
実技試験の合格率
厚生労働省の資料によると、2014年実施の保育士試験のうち、実技試験の合格率は88.7%と示されています。
同年の筆記試験の合格率が21.3%であることを踏まえると、実技試験は合格率が高く、筆記よりも通過しやすい傾向にあると言えるでしょう。
ただし、実技試験は加点や減点の基準が公表されていないため、確実に合格するためにはしっかりと対策することが大切です。
ここからは、実技試験の音楽・造形・言語の各分野について、試験内容や合格するためのポイントを紹介します。
【音楽】保育士試験の実技の内容と対策
まずは、音楽分野の内容と対策のポイントを見ていきましょう。
試験内容
音楽に関する技術の試験では、ピアノ・アコースティックギター・アコーディオンのうちいずれかを選択し、課題曲2曲を弾き歌いします。
今年の課題
2023年前期の音楽の課題は、以下の2曲です。
- 「幸せなら手をたたこう」
- 「やぎさんゆうびん」
条件
- 楽譜(紙のみ)の持ち込み可能とする
- ピアノ以外の楽器は持参する
- ピアノの伴奏に使うのは市販の楽譜、または試験の手引きに添付された楽譜のコードネームを参照して編曲したものとする
- ギター、アコーディオンで伴奏する場合には、手引きに添付された楽譜のコードネームを尊重して演奏する
- いずれの楽器とも、前奏・後奏を付けてもよい
- 歌詞は1番のみとする
- 移調してもよい
評価のポイント
保育士として歌や伴奏のスキルはもちろん、リズム感など豊かな表現ができるかどうかがチェックされます。
過去の課題
2021年までの3年間の課題曲は以下です。毎年異なる曲が課題に選ばれていますが、どれも保育園でよく歌われる歌のようです。
2020年:①「大きな栗の木の下で」 ②「ニャニュニョのてんきよほう」
2021年:①「あひるの行列」 ②「揺籃のうた」
2022年:①「小鳥の歌」 ②「びわ」
対策のポイント
「弾き歌いしやすい」楽譜を選ぶ
音楽の試験は高度なピアノの技術が評価されるわけではなく、子どもたちといっしょに歌うことを想定して「弾き歌いができているか」がポイントとなります。
楽譜を選ぶときは自分が歌いながら弾けるものを選ぶとよいですね。
練習は録画して反省点を振り返る
練習は携帯電話で録画して「リズムやテンポが速くなっていないか」「笑顔で弾き歌いできているか」をチェックしてみましょう。
また、本番は誰しも緊張してしまうものです。
家族や友人の前で弾き歌いするなど、人前で練習の成果を披露するとよいですね。間違ってしまったとしてもやり直さずにそのまま弾き終えられるよう、練習しておきましょう。
【造形】保育士試験の実技の内容と対策
続いて、造形表現に関する実技試験の内容や対策のポイントを紹介します。
試験内容
縦横19cmの枠内に、保育の一場面を絵で表現します。
表現に関する課題(表現する場面の事例)と条件は試験の当日に提示されます。
持ち物
条件
- 当日示される問題文で設定された一場面について条件を満たして表現する
- 試験時間は45分
- 水溶性色鉛筆も可だが、水分の塗布は不可
- 摩擦熱で消える色鉛筆は不可
- 携帯用鉛筆削りを使用する際は試験監督員の了解を得る
評価のポイント
保育の場面をイメージした情景や人物の描写、色使いができるかどうかがチェックされます。
対策のポイント
絵を描く工程考えて練習する
まず、絵を描く手順を決めて練習をしましょう。
絵の描き方の手順例はこちら。
①問題文に合わせて条件に合わせて人や物の構図を描く
②下書きをする
③縁取りをする
⑤色を塗る
⑥色の濃淡を意識して仕上げる
中には、人物の描き方に苦戦する方もいるでしょう。
子どもや保育士の表情がわかりやすいよう、明るいイメージの絵を描くことがポイントのようなので、色の使い方も意識するとよいですね。
計画的に今日は「人物の表情」明日は「背景」など部分的に練習を行うなど、スケジュールを決めて取り組むとよいかもしれません。
制限時間内に描く練習を繰り返す
造形の試験は当日に問題文が発表されるうえに、公式サイトに過去の問題などは掲載されていません。どんな問題であっても対応できるよう、保育のさまざまなシーンをイメージして制限時間内に描く練習を繰り返しましょう。
市販の過去問集や予想問題集などを解いて保育の場面を描くことに慣れておくのも大切ですね。
【言語】保育士試験の実技の内容と対策

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次に、言語に関する試験内容や対策のポイントを紹介します。
試験内容
言語の実技試験では、子どもが集中して聞けるような「3分間のお話」を行います。あらかじめ発表されている課題のなかから、自身で1つ選択します。
今年の課題
2023年前期の言語の課題は、以下の4つです。
- 「ももたろう」
- 「3びきのこぶた」
- 「おおきなかぶ」
- 「3びきのやぎのがらがらどん」
条件
- 目の前に、15人程度がいることを想定する
- 一般的なあらすじを通して、3歳児の子どもが話の世界を楽しめるように3分にまとめる
- 適切な身振りや手振りを加える
- 開始合図のあとに、話の題名を子どもに向けて言う
- 絵本や台本、人形などを使用することは禁止
- 3分間は退出不可
- 子どもに見立てた椅子が前方にある
評価のポイント
保育士として必要な基本的な声の出し方や表現上の技術、幼児に対する話し方ができているかをチェックされます。
過去の課題
2020年~2022年まで試験内容の変更はありませんでした。
2023年と同様、
①「ももたろう」②「3びきのこぶた」③「おおきなかぶ」④「3びきのやぎのがらがらどん」
となります。
対策のポイント
ストーリーを原稿用紙にまとめる
試験では選んだ題材のあらすじを3分間で説明する必要があります。
3歳児の子どもが理解できるように擬音語や言葉の繰り返しなどを意識して物語をまとめていきましょう。
3分程度にまとめることを考えると原稿用紙(400文字×2枚程度)におさめるとよいかもしれません。ただ、話のスピードなどで時間が余ってしまったり足りなくなってしまったりすることもあるでしょう。
練習中に気づいた点はメモに残し、修正を加えていきましょう。
子どもが楽しめるような工夫する
3歳児の子どもが集中して聞くことができるように物語を楽しめる工夫を盛り込みましょう。
実際に保育の場面を想定して、子どもたちに話しかけるイメージで練習しておくことがポイントです。
場面に合った身振りや手振り、表情、言葉の強弱などを意識してメリハリをつけるとよいでしょう。
また、友人や家族の前で練習の成果を披露する場面も設けるとよいですね。
「本番に緊張して頭が真っ白になってしまった…」ということもあるかもしれません。
人前で話すことに慣れておけば、本番も笑顔で試験に臨めるでしょう。
保育士試験の実技分野はどれにする?選び方のポイント
保育士試験の実技では音楽・造形・言語のなかから2分野を選ぶ必要があるため、どれがいいのか悩む方もいるようです。ここで続いては実技分野の選び方を紹介します。
得意分野から選ぶ
「絵をかくことが得意」「ピアノを弾くことが得意」といった場合は、得意分野から選ぶとよいかもしれません。自信がある分野であれば、当日も堂々と試験に臨めるでしょう。
反対に、「これだけはできない」という不得意なものがあれば、それを省いて消去法で選ぶのもよさそうです。
自分の得意・不得意を再確認したうえで、受験するならどれがいいか選んでみましょう。
楽しく練習できる分野を選ぶ
実技試験はしっかりと練習を積んで臨むことが大切です。そのため、楽しく練習できそうな分野を選ぶのも一つの手です。
練習の段階で「つらい」「もうやりたくない」と感じてしまうと、試験当日に本来の力を発揮できないでしょう。
楽しく練習を重ねられれば、試験本番も前向きな気持ちで取り組めるかもしれませんね。
保育士試験の実技は科目別に対策を立てて臨もう
保育士試験の実技試験は、音楽・造形・言語の3分野のなかから2分野を選択して受験します。
受験分野に迷った場合は、一度全て取り組んでみて楽しく練習できそうなものを選ぶとよいかもしれません。過去問のチェックもしっかりして計画を立てていきましょう。
3分野それぞれの試験内容は異なりますが、保育現場で役立つ資質を評価されているという点では共通しています。ポイントを押さえて対策し、自信を持って実技試験に臨めるとよいですね。
また、実技試験に合格すれば保育士として現場に立つ日も、もうすぐ!
今から就職・転職情報を収集しておくことも大切です。
保育士バンクでは現場未経験の方も働きやすい職場をご紹介させていただきます。
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