保育士試験の合格に向けて筆記の科目や難易度をチェックしましょう。合格するには9科目すべてで6割以上の得点が必要であることから、効率的に勉強を進めることが大切です。今回は、保育士試験の筆記科目について解説します。難易度が高いといわれる科目や対策方法も紹介しているので、学習に取り組むうえで参考にしてみてくださいね。
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■目次
【2024年】保育士試験の筆記科目の日程
保育士試験は1年に2回、春と秋に実施され、受験資格があれば年齢を問わずに誰でも受けられます。
保育士試験には筆記試験と実技試験があり、筆記に合格すれば実技を受験できます。
2024年の筆記試験日程は以下の通りです。
- 前期試験
筆記試験:2024年4月22日(土)、23日(日)
- 後期試験
筆記試験:2024年10月21日(土)、22日(日)
筆記試験は科目数が多く出題範囲が広いため、難易度が高いといわれています。自分にとって効率的な方法を抑えることが合格のカギとなるでしょう。
保育士試験の筆記科目の合格率
厚生労働省の資料によれば、2015年実施の筆記科目の合格率は25.2%。
筆記試験の合格者に対して実施される実技試験の合格率は例年80%といわれていることから、筆記科目の合格が難しいことがわかります。
また、2022年度の各都道府県別の保育士試験全体の合格率はこちらに記載されています。お住まいの地域の合格率もチェックしてみるとよいでしょう。
保育士試験の筆記試験は9科目!合格ラインは?
筆記試験では全部で9つの科目が出題されます。
筆記科目内容
それぞれの科目名や内容、設問数、合格ラインを一覧にまとめました。各科目の配点は100点となっており、合格するには9科目すべてが6割以上の得点が必要です。
ただし、9科目のうちの「教育原理」と「社会的養護」の科目は各50点で設定されており、両方とも6割(30点)以上得点しなくてはなりません。
科目 | 出題内容 | 設問数 | 合格ライン |
---|---|---|---|
保育原理 |
・保育に関する法令及び制度 ・保育所保育指針における保育の基本 ・保育の思想と歴史的変遷 ・保育の現状と課題 |
20問 | 12問以上 |
教育原理 |
・教育の思想と歴史的変遷 ・教育の制度 ・教育の実践 ・生涯学習社会における教育の現状と課題 |
10問 | 6問以上 |
社会的養護 |
・社会的養護の基本 ・社会的養護の制度と実施体系 ・社会的養護の対象・形態・専門職 ・社会的養護の現状と課題 |
10問 | 6問以上 |
子ども家庭福祉 |
・子どもの人権擁護 ・子ども家庭福祉の制度と実施体系 ・子ども家庭福祉の現状と課題 ・子ども家庭福祉の動向と展望 |
20問 | 12問以上 |
社会福祉 |
・社会福祉の制度と実施体系 ・社会福祉における相談援助 ・社会福祉における利用者の保護に関わる仕組み ・社会福祉の動向と課題 |
20問 | 12問以上 |
保育の心理学 |
・子どもの発達過程 ・子どもの学びと保育 |
20問 | 12問以上 |
子どもの保健 |
・子どもの身体的発育・発達と保健 ・子どもの心身の健康状態とその把握 ・子どもの疾病の予防及び適切な対応 |
20問 | 12問以上 |
子どもの食と栄養 |
・栄養に関する基本的知識 ・子どもの発育・発達と食生活 ・食育の基本と内容 ・家庭や児童福祉施設における食事と栄養 ・特別な配慮を要する子どもの食と栄養 |
20問 | 12問以上 |
保育実習理論 |
・保育実習実技 |
20問 | 12問以上 |
筆記試験はマークシート方式で出題され、1科目あたり10~20問程度が設定されています。
合格した筆記科目には3年間の有効期間が付されるため、3年以内に再受験する場合、その科目の受験は免除されます。
しかし、上述した「教育原理」と「社会的養護」の科目は同一試験内において両方とも6割以上得点しないと合格とは認められません。
そのため、片方のみが合格点に達していても、次回の試験で免除されるわけではないので注意しましょう。
科目免除
幼稚園教諭免許を所持している場合、免除申請をすれば筆記科目の「保育の心理学」「教育原理」が受験免除となります。
加えて、指定保育士養成施設で筆記試験に対応する科目を修得していれば、それ以外は免除されます。
また、幼稚園教諭免許を持ち、幼稚園などの対象施設で「3年以上かつ4320時間以上の実務経験」を積んでいれば、先述した科目に加えて「保育実習理論」も免除される特例制度を利用できます。
幼稚園教諭免許を所持している方は、自身が特例制度の対象者に該当しているか確認しておきましょう。ちなみに、特例制度による受験申請期間は2025年度の試験までとなっています。
保育士試験の筆記科目の難易度
保育士試験の筆記科目の中で難易度が高い教科は「社会的養護」「教育原理」「社会福祉」の3つといわれています。
「教育原理」と「社会的養護」は同時に合格が必要であること、「社会福祉士」は社会保障制度や法律などが出題され、暗記が大変…という理由から、難しいと感じる方が多いようです。
逆に昔から社会科の科目が得意だった方は「社会福祉士」の勉強がスムーズに進められるかもしれません。
科目によって不得意なものは人によって違いがあることから、まずは一つ一つの科目でどんな学習が必要なのか、テキストや参考書を確認してみるとよさそうです。
保育士試験の筆記科目の勉強対策
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保育士試験の筆記科目合格に向けた勉強対策をまとめました。
必要な勉強時間・期間を把握する
一般的に筆記科目の必要な勉強時間は約100時間~150時間といわれています。毎日1時間勉強することを考えて期間に換算すると4カ月~5カ月かかります。
「土日集中して勉強する」「朝、早めに起きて学習する」など人によって勉強方法はさまざまでしょう。
社会人の方は仕事と勉強の両立に苦戦することもありそうです。
試験日から逆算してスケジュールをしっかり立てて合格を目指しましょう。
関連分野をまとめて勉強する
これまで説明した通り筆記科目は全部で9つあり、出題範囲が広いためどの順番で手をつけたらよいのか迷うかもしれません。
そういった場合、以下のように科目の内容を大まかに分類し、関連分野をまとめて勉強するとよいでしょう。
保育原理/教育原理:保育の基礎について
子ども家庭福祉/社会福祉/社会的養護:子ども福祉の歴史や法令について
保育の心理学/子どもの食と栄養/子どもの保健/保育実習理論:子どもの成長や発達について
以上は分類の一例ですが、比較的取り扱っている内容が近いものをグループにして同時期に勉強すれば、頭が整理され知識が定着しやすいかもしれません。
どの科目から順番に着手するかは自由ですが、保育の基礎的な内容を網羅している「保育原理」から始めると、その後の勉強がスムーズになりそうですね。
参考書でインプットを行なう
「教育原理」や「社会的養護」は暗記系が多く、かつ読解力も必要になる試験形式のため、難易度が高いと言われています。そのため、はじめのうちからコツコツと知識を積み重ねておくことがポイントになるでしょう。
人物名や法令、歴史などの暗記系は、赤シートを使って繰り返し覚えると知識が定着しやすいかもしれません。
また出題範囲が幅広いため、自分なりのノートを作成してまとめると膨大な時間がかかってしまいます。
インプットするときは要点がわかりやすくまとまっているテキストを利用して、自分の苦手な箇所を集中的に勉強するとよいかもしれませんね。
過去問や予想問題を解いてアウトプットする
知識をある程度インプットしたら、問題集などでアウトプットしましょう。
アウトプットによって理解できていない部分を洗い出すことができ、知識が定着しやすくなります。
特に過去問や予想問題は、出題範囲や傾向を掴むのに役立ちます。また、時間配分を把握しやすくなるので、効率的な問題の解き方を身につけられるかもしれません。
間違えた問題は繰り返し解いて、筆記試験に向けて対策を進めましょう。
保育士試験の筆記科目を勉強して合格を目指そう
難易度が高いといわれる筆記試験は、科目を分野ごとに分けて取り組むと効率的に進めることができるかもしれません。
参考書やテキスト、問題集を上手に活用して合格に向けて計画的に取り組んでいきましょう。
なお、以下の記事では保育士試験の実技試験について解説していますので、実技試験の対策をする際の参考にしてくださいね。
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